第一章 第三話 4

「そばに、いさせてくれ」

 アルセンの告白は、何とマインの欲しい言葉をくれるのか。
 マインはその言葉に拒否する理由が全くなかった。
 マインは自分の首筋に顔を埋め、嘆願しながら抱き締めてくるアルセンを初めて抱き返す。
「昔のようにそばにいてくれるなら大歓迎だ」
 ただ、アルセンの気持ちに応えられるとは限らないが。
 冷静になったアルセンは、そのマインの複雑な気持ちを読み取るが、もうこれ以上は何もしない。
 マインもアルセンに押し倒されるのは勘弁しほしいが、かと言ってここですぐにアルセンとさよなら、というのは避けたい。
 妻や子供達とはまた別の、とても大切な存在なのだ。
「ほら、どいてくれ。重いって」
 さすがにマインがアルセンを自分の上から押しのけようとするが、アルセンは面白がって離れない。
 ただの嫌がらせで離さないのがマインも分かっているので、乱暴に引き剥がす。
 飲んだ後に血流の良くなるような事をしたので、少し頭がふらつく。
 でも折角開けた酒を残しはしなかった。アルセンが自分より酒に弱いのを知っていて、マインは先程の腹いせとばかりに注ぎまくり、結局そのまま二人、居間で朝を迎える事になる。

 マインのそばにいられる。

 それは何と幸せな事か。

 だがきっとその幸せに俺は慣れてしまう。

 その先のさらなる幸福を、いつか求める。

 俺はお前を諦めない。

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次からはいつもの調子に戻ります。
(2010.10.9)